同じ画像を2つの会社に支給したところ、それぞれ色味の異なる画像が仕上がってきました。
補正をしたわけでも加工をしたわけでもないのに、色が違っているようです。
こちらのオフィスでは、その原因について考えていくようです。

博士~
画像の仕上がりで問題があったようじゃの?


そう。Webページに使ってもらう素材でこの画像を2社に支給したんだけど……
ふむふむ


それぞれの会社さんから仕上がってきたのがこんな感じで、違う色になっちゃったんだよね
うむうむ、違っているようじゃね。支給する時に、何か補正をしてほしいと依頼したのかな?


依頼していない。問い合わせたら、サイズを変更したくらいだって
ふむふむ。支給した元の画像と仕上がった画像を確認させていただこうかの


どうぞ
……


何かわかる?
……カラースペースの話は覚えておるかな?


RGBやCMYKが色を再現できる範囲の話でしょ?
そうじゃね。それと、カラースペースにはいくつも種類があるのはわかるかね?


どういうこと?
例えばCMYKと言っても、使用するインクや紙によって再現できる色は変わってくるじゃろ?


あ、そうね。紙の色が違えば全然違う仕上がりになるよね
印刷の仕方で再現できる色の範囲、様々なカラースペースがあるわけじゃ


なるほど、そう考えるとそうだね
それはRGBでも同じでな


そうなの?
モニターやデジタルカメラなど、それぞれメーカーの特性や機械の個体差があるよね


あ~……テレビを購入する時、電気屋さんで色々悩んだ思い出があるねぇ
つまり、それぞれに特有のカラースペースがあるわけじゃな


でも、カメラもモニターそれぞれ好き勝手やってたら、バラバラな色になっちゃうのでは?
そうじゃね。なので、統一された規格として、sRGBを作ったんじゃよ


ほー
メーカーや機械の差はあっても、sRGBのカラースペースの色を再現できるようにしたんじゃ。sRGB準拠の文言があるモニターを見ないかね?


あ、なんかたまに見るかも
世の中sRGBで統一されておれば良いんじゃが、技術が進歩してくるとそうも言っていられなくなってのぉ


ふむふむ?
これまでのカラースペースより多くの色を再現したくなるじゃろ?


確かに
以前、仕組みが違うので、再現できる色に違いがあると説明したね?


聞いた聞いた。でも、もしかして……
より多くの色を再現できるなら、モニターでCMYKの色も再現できるようになると思わないかね?


ああ!確かに!
それを目指したのが、Adobe RGBというカラースペースの規格なんじゃ

図のグレーで囲った部分がAdobe RGBじゃが、見た通りにsRGBとCMYKの大部分をカバーしているよね。完全ではないけれど、かなり再現できるようになったんじゃ


おお! これは便利。私のモニターもそれにしたい
Adobe RGB準拠のモニターはかなり高価なんじゃが……


……そうなんだ
そうして、いくつも規格ができると困ったことがおきる


どんなこと?
画像データを受け取った機械が、その画像がどのようなカラースペースの環境で作成されたのか判断しなければならなくなった、と言うことじゃ


判断できないとどうなるの? エラーになるの?
画像データのカラースペースではなく、機械自体に設定されたカラースペースで画像を表示するので、場合によっては想定しない色で再現される場合があるんじゃよ


……想定しない色……同じ画像なのに違う色になる……ってもしかして
ふむふむ答えに近づいてきたようじゃね


じゃ、画像のカラースペースを判断する方法って?
画像に略歴、プロフィールをつけるんじゃ。この画像はどのようなカラースペースで作成されましたよ、というね


ふむふむ
それを『カラープロファイル 』と呼ぶんじゃ


カラープロファイル……
モーちゃんが協力会社さんに送った画像を見せてもらうと、その『カラープロファイル 』がつけられていなかった


それぞれの会社で、カラースペースを判断できなかった……
納品された画像を調べると、両方とも異なるカラースペースでデータが作成されていたよ。片方はsRGB、もう片方はAdobe RGBじゃ


カラースペースが変わると……
色は変わって見えてしまうね


そうかぁ〜
この問題を解決する方法は、まずはカラープロファイルが画像についているか、確認することじゃね


どうやって確認するの?
Photoshopなどの画像ソフトや、Adobe Bridge で確認できるよ。画像はAdobe Bridgの画像じゃが、カラープロファイルが無いものは『タグなし』と表示される


なるほど、だけど、うう……いちいち確認するの大変なんですけどぉ……
ふむふむ。では次善の策として、協力会社さんも含めて作業環境のカラースペースを統一しておくのはどうじゃろう。そうすれば同じ画像ファイルから色の異なるデータが作成される事もなくなると思うよ


統一するカラースペースは何が良いの?
Webの仕事が中心になるなら、sRGBかのぉ。Adobe RGBのように広いカラースペースに対応したモニターを使用する人はそれほど多くないじゃろうし


了解です
では、まとめてみようかの

『写真の明るさについて』
1.カラープロファイルは、画像が作成されたカラースペースを記録したもの
2.カラープロファイルが画像に添付されていないと、色が正しく再現できない場合がある
3.カラープロファイルを添付することが大切。添付が難しい場合は、作業に関わる機械のカラースペース設定を統一する
といったところかの


思わぬ落とし穴があるもんだね
DTP制作会社はAdobe RGBを基本にしていることが多いよ


CMYKまで再現できるカラースペースだから?
その通り。CMYKの作業が中心になるからの……そうじゃな、ふむふむ……


……ん、どうしたの?
次回、カラープロファイルについて、少し実験をしてみようと思うよ


実験?
……色が変わって見えるが、実は変わっていないよ……という実験でな


ハ!?
最初に見ていただいた2社の写真が、もしかしたら同じ写真に見えるかもしれない方へのお話でもあるんじゃ


そんなことあるの?
そうなんじゃよ


なんか難しくなってきたけど、よろしくお願いしまっす!
複数のカラースペースの存在とカラープロファイルの有無が色の再現に影響することを知ったモーちゃん。
しかし、色が変わって見えるのに、実は色は変わっていないという博士の言葉に戸惑います。
次回、『カラープロファイルのちょっとした実験』へ続きます。
To be continued・・・