2021.01.25 Mon

visual identity

CIブームのおはなし。Back to the 80-90s.

#VI, #CI

author:タケっち

かつてのCIブーム。いちデザイナーの思い出。

こんにちは!タケっちです。

今回は昔話です。かつて日本にはCIブームがありました。もう30年も昔、主にバブル期前後の頃です。こう述べると私の世代がばれます。私事で恐縮ですが、結局自分は商業領域を含めた美術畑をずっと歩んできたんだなと時々実感します。

ところでこの社会、世代はどんどん移り変わり、変革~革新もどんどんなされていきます。時間の流れは早く人生は短いもんです。
そのような中、マーケティングなどビジネスに関する事象について、普遍的・本質的なことは限られているものと思っていました。新しいコミュニケーションメディアが登場するなど発明~技術革新に伴い、その戦略やノウハウなどはどんどん更新されていきます。
でも最近考える事ですが、大切と思う基礎的な事は予備知識程度でもいいので継承していかないと、若い世代は様々な面で実効力のあるアップデートができず、我々世代と同じ事を繰り返していくように感じることがあります。非常に抽象的な言い方ですが、昔のオレらと同じようなところで引っかかって考え込んでんじゃんと。試行錯誤することは大事ですが、回り道しているように見えたり、それって空虚な事なんだけどな~とか思うこともあります。私も若い頃、上の世代から色々と言われてきたと思いますが…。まあなんというか、そういう事でした。

で、かつての日本におけるCIブームです。中西氏率いるPAOSによる取り組みを起点に、80年代から90年代にかけ、特にバブル期前後は各社とも盛んにCI計画に取り組みました。当方では学生時代、CIの講義でPAOSの書籍をテキストにしていましたし、社会人になってからも中西氏の講演にも足を運んだものです。
その頃は大きな予算を準備できたナショナル企業を除き、多くはデザイン偏重でありCI計画=デザイン開発と捉えることも普通にありました。これは当時ほどではありませんが、現代のブランディングにおいても同様といえます。

デザイン偏重だった、かつてのCIブーム。

そのCI計画におけるデザイン表現はバブル期をピークに百花繚乱しました。制作環境がデジタルへ移行していった90年代はデザイン表現の幅も広がり、2000年頃にはその表現パターンはもはや出尽くした感すらありました。当時は新鮮でクオリティの高いCIデザインがどんどん生まれ、クリエイティビティに溢れていた時代です。

デザイン偏重とはいえ、デザインコンセプトは当然必須です。そのデザインコンセプトの基盤になるものでは企業理念がありました。ただし企業理念の多くは企業人として、また社会人として普遍的な在り方に言及したものが多く、事業における未来イメージを具体的・戦略的に描いたものではありません。そのためトップヒアリングを通して未来イメージを把握することになります。
本来、コーポレートアイデンティティの立案には現状のコーポレートイメージを分析・把握し、将来あるべき企業像を定義する作業が必要です。それを戦略的視点をもって立案するため、競合調査とポジショニング、市場調査等を経た上で立案します。
つまり3C分析を経てブランドターゲットやブランドパーソナリティを定義、全社的に取り組みへの参加を促しながら、未来の「あるべき姿」を創り上げる地道な作業です。CIブーム当時も「企業のあるべき未来像をしっかり定義すべきであって、デザインするだけのCIは本当のCIではない。今のCIは表面的だ。」等とマーケターは主張しました。
とはいえ、いくらバブル期でも企業が準備できる予算やスケジュールには限度があり、現実的な実行範囲としてデザイン開発が優先されたものと思います。

CIの取り組みは拡張~発展し、“ブランディング”へ。

以上のような状況から、全社的に共有すべきアイデンティティが完全に明確だとはいえないため、デザイン提案段階でもクライアント社内から様々な意見が沸き上がることは常でした。デザイン方針も定めにくい状況で、クライアント社内における人間関係や、担当者様のポジションは重要な関心事でした。様々なビジネスでよくあることですが、コンペではデザインより政治判断が優先されたり、採用された案のデザイン品質が著しく低かったなど、デザイナーにとっては心情的に受け入れ難いことも起こりやすかったわけです。理解されようと努めながら真剣に取り組むデザイナーにとっても、実は決して楽なことではありませんでした。

バブル後、特に2000年前後からは大企業を中心にブランディングへの取り組みが活発化します。当方においては97~8年頃から「ブランディング」という言葉がちらほら使われ始めました。ブランディングはブランドづくりであり、CIよりも広範で多様な概念です。CIは企業ブランディングであり、そのままブランディングへ発展的に直結します。
そのため「CI推進室」など各企業のCI関連部門は、例えば「ブランド戦略室」などへ名称を更新した企業も多いと思います。

ブランディングが一般的になった現代でも、企業ブランドは事業活動全体の基盤であり、製品・サービス等様々なブランドに影響するため、最も重要であることに変わりません。例えば専門的な言い方になりますが、企業ブランドはブランド体系のベースになり、各ブランドの戦略企画に大きく関与します。ブランドアンブレラ戦略やサブブランド戦略、マルチブランド戦略、どの戦略を採るのか等、ブランディングの基盤から影響します。

またブランディングではCI・コーポレートアイデンティティと同様、ブランドアイデンティティ、「未来のあるべき姿」の創造が必須です。そのコンセプトに則り、PRはじめ様々なコミュニケーション施策を展開します。当時からCI開発のノウハウはブランドを創造することであり、ブランディングそのものでした。

CIマニュアルやVIガイドラインの内容と変遷

バブル期CIブーム~90年代CIのガイドライン

VIガイドラインは部門を超えて各メンバー間の意志と表現方針を統合し、中長期にわたり一貫性をもたらします。デザインでは各ツールのデザインイメージが統合され、イメージ連動したアイテム展開を可能にします。

予算とスケジュール面で十分余裕がある企業では、明文化した企業のアイデンティティや戦略に言及した内容を編纂し前半に盛り込みます。そのコンセプトが後半のビジュアルデザイン・VISへ、そのデザインコンセプトにつながる本来的なCIマニュアルです。

しかしながらCIブームから90年代にかけては、主にデザイン面におけるムーブメントだったため、ほぼVIに特化した内容が多かったのではと思います。少なくとも当方においては企業理念や、アイデンティティの概念について大まかな記述はあるものの、概要までに留まることが多かったです。そのため「Corporate Identification – Visual Design Standards」とタイトルをつけることがほとんどでした。
CIマニュアルというよりデザインガイドラインである“VIマニュアル”です。今はスタイルガイドラインとも呼ばれます。
ロゴの表示方法やレイアウトなどデザイン面でルールを定め、各担当者の考え方や制作メディア毎にバラバラにならないよう統合します。その上で、中長期的に一貫性をもった運用・管理を行います。極めて機能的で、「デザインや各ツールの設計書」ともいえるような内容です。

このようなVIマニュアルのコンテンツ構成では以下のような内容です。当然、業種や要件により、それぞれ異なりますのであくまで一例までですが、多くのパターンは冒頭に企業理念やコーポレートアイデンティティ概要、及びデザインコンセプトを掲載し、ベーシックデザインエレメント~ベーシックデザインシステム~アプリケーションデザインシステムへと展開します。

次は現代におけるブランディングについて

今回、かつてのCIブームの思い出について取り上げました。次はその後のCIとVI、現代のブランディングにおける情緒的な表現規定などに触れたいと思います。

そもそも、私がこの業界にきたきっかけはCIの講義と、大きかったのはその教授の影響です。
実はデザインに対して強い興味を持てなかったのですが、CI計画の授業を選択したところ、こんなダイナミックな世界があったのかというインパクトと、大手広告代理店を定年退職した女性教授のインパクトにまんまと感化されたのでした。バブル時代におけるCI計画はとてもエキサイティングなものでした。
そんなこんなで私の社会人としてのキャリアはCIコンサルティング会社からスタート。当時はバブルが終わり、マーケティング会社やCIコンサルティング会社は軒並み看板を下ろしたり縮小していきました。そんな中、小さくても踏ん張っていた会社に拾ってもらいました。で、実際その中に入るとそれはそれは大変に地味で地道な業務。イメージとのギャップや連日の徹夜仕事に悩まされ、椅子と身体は一体化し、PCと脳はシンクロし、私はあっという間に“職人”になっていきました。

ところで卓球は続けています。試合などは考えておらず運動不足対策が目的です。基礎からもう一度やり直し、ドライブのラリーを続けることが当面の目標です。今度、卓球マシンで自主練に励んでこようかと画策中です。

以上、タケっちでした。高田馬場で卓球の相手を求めている方、ぜひともご連絡を。

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