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企業スローガンやブランドスローガン。タグラインについて

2020.07.30 木

こんにちは!タケっちです。

前回の記事、企業ロゴ・ブランドロゴ選考基準のポイント【第3回】、ではバブル期のクルマについてネタにしましたが、とてもシンボリックな車を忘れていました。外せなかったのはマツダです。
最近のマツダ車のデザインは周知の通り素晴らしいものですが、バブル期にはロードスター(当時、ユーノス)をリリースしましたね。30年経った今でも愛好者が絶えません。またマツダと言えばロータリーエンジン。そのバブル期前後の代表と言えばRX-7です。

あのようなデザインは現代の保安基準もあって実現し難いでしょう。当時、ロングノーズ好きな私はユーノス・コスモ推しでした。近しい知人に当時マツダの広報を務めていた方がいらっしゃるのですが、ユーノス・コスモの開発当時はとんでもないパワーを発揮していたようです。

他には個人的にスズキ・カプチーノが好きでした。この好みの流れはダイハツ・コペン、ホンダ・S660へと続きます。ダイハツ・コペンのデザインの完成度は高く、ホンダS660はカッコいいです。

当時、私は中古で買った初代ハイラックスサーフに乗っていました。
当時のピックアップに屋根付けただけの実用車でした。
なにもチューンしていないのにステッカーベタベタ貼っていました。見てくれだけ。作品を積んだり、毛布を積んで旅に出かけたりしてました。

ところで日産のブランドロゴですが、リニューアルについて公式に発表されました。ブランディング規模は非常に大きいはずです。
従前のコーポレートロゴ、コーポレートロゴタイプとされている変更まで及ぶのかわかりませんが、そうなるとかなりのボリュームです。

そうでなくとも各国語でのブランドコミュニケーションガイドライン・VIマニュアル(スタイルガイドライン)、各種展開アイテム、ディーラー展開、等々の変更があり相当の規模になります。もちろん期間も相応です。もう少し開示され次第、いずれ記事にしたいと思います。

 

コーポレートアイデンティティを表現するタグライン。

さて今回はタグラインについて触れたいと思います。
タグラインとはいわばコーポレートスローガンです。言い方の違いに過ぎませんが、コーポレートステートメントとしている企業もあります。

コーポレートアイデンティティの“本質”を端的に表現したフレーズで、顧客など外に向けたもの、社員などインナーに向けたもの、双方に向けたものとがあります。開発にはVI・コーポレートロゴと同様、ベースになるコーポレートアイデンティティの創造が必須です。

よくコーポレートロゴと組み合わされたシステムを成し、優先的に展開するシグネチュアとして使われます。
例えば、エバラではこころ、はずむ、おいしさ。”です。

そのタグライン、各社それぞれ印象に残るフレーズを展開しております。
皆様はどの企業のタグラインが印象に残っていますでしょうか?

とりあえず私の独断と偏見で、ざっとピックアップしてみました。中にはもう展開していないものもあります。
※一部、キャンペーンとしてのスローガンも含めています。

企業のタグライン例

■ インテル入ってる (intel)
■ just do it ! (ナイキ)
■ NO MUSIC, NO LIFE (タワーレコード)
■ 目の付けどころが、シャープでしょ。( シャープ ※現:Be Original. )
■ ココロも満タンに (コスモ石油)
■ お、ねだん以上。 (ニトリ)
■ カカク、ヤスク(西友 ※前キャッチコピー)
■ よく生きる (Benesse、ベネッセホールディングス)
■ 愛は食卓にある。 (キユーピー)
■ Be a Driver. (マツダ)
■ 子どもたちに誇れるしごとを。 (清水建設)
■ ideas for life (Panasonic ※現:A Better Life,A Better World)
■ あしたのもと (味の素 ※現:Eat Well, Live Well. )
■ すべてはお客さまの「うまい!」のために。 (アサヒビール)
■ ぶっちぎれ 技術の日産 (日産 ※前:やっちゃえ NISSAN ブランドキャンペーンスローガン)
■ i'm lovin' it (マクドナルド)
■ ココロとカラダ、にんげんのぜんぶ、オリンパス (オリンパス)

 

タグラインとシグネチュアシステムの関係(例:マクドナルド)

 

マクドナルドのロゴ

今回、このお題を取り上げた理由にマクドナルドがあります。
ところでマクドナルドのシグネチュアですが、現在は“McDonald‘s”のロゴタイプがアーチのシンボルマークと組み合わされておらず、シンボルマーク単独で展開されているのにお気づきでしょうか?

社会にすっかり浸透しきったロゴですので、McDonald’sを外しシンボルマーク単体で展開しても全く問題ありません。今や全世界でもアーチのシンボルマークだけで、一目でマクドナルドと認識されます。遠距離からも一瞬で認識されるため、店舗ポールサインだけならまだしも、もはや広告展開でもシンボルマーク単体で展開しています。

このマクドナルドのロゴは度々ブラッシュアップが為されており、その度に店舗もリニューアルしています。ブラッシュアップの度、造形品質も上がり美しくなっています。VIをしっかりマネジメントしているよい例です。現在はシンボルマークと筆記体による“McCafé”と組み合わされており完成度が高いのですが、前は“i'm lovin' it”との組み合わせで使用していました。

その“i‘m lovin’ it”ですが…スローガンというより、広告展開の長期的キャンペーンとしてのフレーズです。当時はすごく気が利いている展開だなと思いました。それまで当たり前のように“McDonald‘s”が組み合わされたシステムだったのですが、“McDonald’s”を外し、広告宣伝で展開する“i‘m lovin’ it”のフレーズを組み合わせました。これが広告と相まって非常に効果的だったのです。

そもそも「McDonald‘sとのシステムがイマイチ洗練されないなぁ。もしかしたら店舗サインにロゴタイプは必要ないのでは?」といちデザイナーとして感じていたところ、 McDonald‘sの代わりに広告展開のフレーズを組み合わせ、システム化したのです。
こういう発想はとてもアメリカ的だと思いました。

 

タグラインと広告の連携(例:インテル)

 

インテルはいってる

 

インテルでは「インテル入ってる(Intel Inside)」の広告展開におけるサウンドロゴが非常に印象に残ります。これは同社ブランドキャンペーンに対する日本からの提案のようです。

パソコンの心臓部として最重要なCPUですが、内部にあり外からは見えません。それまではCPUはいわばBtoBの領域であり、消費者に認知されるのはなかなか難しいと考えていたものですが、それを覆し一気に浸透しました。PCの性能を決めるのにインテルが使われているかどうかが、PC自体のブランドイメージを左右するものにさえなりました。

ここで気づくことがあります。いち消費者として印象に残るフレーズの多くは広告戦略の一環であるなど、広告展開とうまく連動しているのです。“ぶっちぎれ 技術の日産”では永ちゃんを起用して、強く印象に残る展開を行っています。

これはタグラインというより広告を軸としたキャンペーンにおけるキャッチコピーなので、コーポレートスローガンとしての役割とは少し異なります。とはいえ、いまだに記憶に残る、シャープの“目の付けどころが、シャープでしょ。”をはじめ、コスモ石油が数十年にわたり展開している“ココロも満タンに”ではサウンドロゴが心地良いなど、CMの効果も大きいと思います。コスモ石油のそれに至っては社会の財産と言って構わないでしょう。消費者にとって広告、とりわけCMや動画との連動から生まれる効果は大きいと思います。

 

英文のタグラインは漠然としている?

なお英文タグラインですが、日本人には具体的な意味がすぐに伝わらず漠然とするのでは?という危惧があると思います。英文は気の利いたフレーズなら、長期展開によってブランドアイデンティティの醸成は成されると思います。日本国内でも新規性があったりカッコいいと感じるような英単語やフレーズも多くありますよね。

タグラインの開発においては、通常、広告キャッチコピー開発に熟練した、ネイティブのライターを開発チームに割り当てます。それでもなおターゲティング等の理由により、英文のタグラインについて疑問に思う場合は、国内展開では日本語、海外ではそれぞれの国に合うようローカライズする等の対応が必要になるでしょう。

 

タグラインで社員のモチベーション向上

タグラインは社内活性化や社員のモチベーション向上における効果が大きいです。

ある金融企業で新しいスローガンを展開する際に、社員自ら名刺に貼るシールを配布したとのことですが、要望が多すぎて印刷が間に合わなかった話を聞いたことがあります。この手の話で当方が手掛けた案件では、企業ロゴが印刷されたIDカードストラップに注文が殺到して製造が間に合わなかったという企業もありました。

ちょっとしたアイテムですが単に帰属意識だけでなく、会社や自身の仕事にプライドを持っている事、自身を鼓舞したい事の現れなのでしょう。社長や役員の皆さんにとっては、社内活性化などインターナルブランディングの方に意義を感じる方も多いのではないでしょうか?

以上、タグラインのお話でした。また何か、ふと思った事や常々考えていた事など記事にしようと思います。

 

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