RPA HAKADORI

RPA導入の失敗例と回避策を解説!業務効率化を成功させるポイント

2025.02.17 月

企業の業務効率化や生産性向上を目指す中で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は大きな注目を集めています。

しかし、RPAは万能ではなく、業務との適合性や運用体制の整備を誤ると、かえって現場の負担や混乱を招いてしまうことも珍しくありません。

単純で繰り返しの多い作業を自動化し、人手不足の解消やミスの削減に役立つ一方で、導入には慎重な準備と綿密な計画が不可欠です。

実際に多くの企業で見られる導入失敗例から学び、正しいステップを踏むことが成功の鍵となります。

このガイドでは、RPA導入にありがちな落とし穴とその回避策を具体的に解説。

RPAの導入効果を最大化し、安定した運用を実現するためのポイントをわかりやすくご紹介します。

 

RPA導入におけるよくある失敗例

RPAの導入は、計画や準備を怠ると、かえって業務の混乱や負担増を招く恐れがあります。以下に、実際によく見られる失敗パターンをご紹介します。

業務効率化を成功させるポイント_1

業務との“相性”を見誤る

RPAを導入しても、業務内容とRPAツールの特性が合っていない場合、エラーが頻発して業務が止まったり、アプリケーションがうまく連携できなかったりして、期待した効果を得られないことがあります。

たとえば、画像認識が必要な業務で精度の低いRPAツールを選んでしまうと、画面のレイアウトが少し変わるだけでエラーが発生することがあります。

また、エクセルを多用する業務において、エクセル操作が不得意なRPAツールを選んだ場合、スムーズに動作せず、手動での修正が必要になることもあります。

このように、RPAと業務の相性が悪いと、かえって非効率になることがあります。

 

社内にRPAを扱える人材がいない

RPAツールを導入しただけでは効果は得られません。運用・管理を担う人材が社内にいなければ、むしろ業務の混乱を招く可能性があります。

十分な知識やスキルがないまま運用を始めてしまうと、ロボットが正しく作れなかったり、エラー対応に時間がかかったりと、かえって工数が増えてしまいます。

現場から業務内容を正しくヒアリングし、それに基づいてロボットを設計・開発・運用する一連の流れを理解していなければ、RPAによる業務効率化はスムーズに進みません。

 

部署内ではうまくいったのに、全社展開で失敗

RPA導入の初期段階では、特定の部署や業務で成功を収めたとしても、全社的に展開する際にスケーラビリティの問題が発生することがあります。

たとえば、導入当初は少数の業務に限定して運用していたため問題がなかったものの、全社的に適用範囲を広げた際に、RPAツールの処理能力が追いつかなくなったり、複数の業務を同時に処理する際にエラーが頻発したりするケースがあります。

また、各部署で異なる業務フローやシステム環境が存在する場合、それらに対応するための調整が必要となり、結果的に運用コストが増大することもあります。

 

ROI(投資対効果)を計算していない

「なんとなく効率化できそう」という曖昧な理由でRPAを導入した結果、「本当に効果があったのか分からない」といった事態に陥るケースは少なくありません。

多くの企業が、導入前にROI(投資対効果)をきちんと算出せずに進めてしまいがちですが、これは大きな落とし穴です。

自動化によって得られる効果と、導入・運用にかかるコストを明確に把握しておくことが、RPA導入の成功には欠かせません。

ROIを見落とすと、成果が不明確なままになり、結果的に「投資しただけ」で終わってしまうリスクも高まります。

 

セキュリティとコンプライアンスを軽視

RPAは業務データに直接アクセスし、自動処理を行うこともあるため、その運用には高度なセキュリティ対策が求められます。

特に、個人情報や機密データを扱う業務では、情報漏洩や不正アクセスを防ぐための管理体制が必要です。

また、金融・医療・製造などの業界では、法令や業界ガイドラインに準拠した運用が求められる場面も多く、コンプライアンスへの配慮が欠かせません。

こうした対策を怠ると、情報漏洩や法令違反といった深刻なリスクにつながり、企業の信頼を大きく損なう可能性もあります。

 

導入後の“放置”

導入当初は正常に動いていたロボットでも、業務内容やシステム環境が変わった途端に対応できず、突然動かなくなることがあります。

RPA導入後に定期的なメンテナンスや見直しを行わず設定したまま放置されてしまうと、業務プロセスの変更に追いつけず、徐々に改修も難しくなり、結局は使われなくなってしまいます。

このような状況では、せっかく導入したRPAが現場で活用されず「野良ロボット」と化してしまい、ツールとしての価値を発揮できなくなってしまいます。

 

 

RPA導入の失敗を防ぐための回避策

RPAを成功に導くには、「導入して終わり」ではなく、計画・体制・運用のすべてにおいて丁寧な準備と継続的な対応が求められます。

ここからは、よくある失敗を回避するために押さえておきたいポイントを紹介します。

業務効率化を成功させるポイント_2

業務との“相性”を見極める

RPA導入を成功させるには、業務内容とRPAツールの特性がしっかりとマッチしていることが前提です。

そのために、まず自社の業務フローを丁寧に整理・把握し、対象業務に最も適したツールを選定することが重要です。

また、導入前の段階でベンダーと十分に話し合い、ツールの機能や制約を正しく理解した上で導入を進めることで、稼働後のトラブルを未然に防ぐことができます。

加えて、事前トライアルなどを積極的に活用し、実際の操作感や業務への適合度を検証することも有効です。ツールの“相性”を見極めるための重要なステップとなります。

 

人材育成と体制づくり

RPAを安定的に運用していくためには、専任の人材を育成し、組織全体で知識を共有する体制づくりが欠かせません。社内トレーニングを充実させることで、担当者のスキル向上だけでなく、チーム全体の理解促進にもつながります。

また、ベンダーの中には、自社でのRPA運用を支援するための教育プログラムや研修サービスを提供している企業もあります。こうしたサポートを活用することで、よりスムーズな定着が期待できます。

もし社内に十分なスキルやリソースがない場合は、無理に内製化しようとせず、ベンダーの支援や外部の専門家への依頼を検討することも重要です。

いずれの場合も、状況に応じて柔軟に体制を整えることが継続的な運用の鍵となります。

 

スモールスタート+段階的展開

RPA導入を成功させるためには、いきなり大規模に展開するのではなく、まずは小さく始めて徐々に広げていく「スモールスタート+段階的展開」の考え方が重要です。

導入計画の段階で、将来的な業務量の増加や新たなプロセスへの対応も視野に入れ、スケーラビリティ(拡張性)を意識した設計を行いましょう。

初期段階から柔軟性のあるRPAツールを選び、複数業務を効率的に管理できる運用体制を構築しておくこと、そして全社展開は一度に行うのではなく、段階的に広げていくことで、その都度発生する課題に対応しながら、着実にスムーズな拡大が可能になります。

 

導入目的とKPIの明確化

RPAを導入する際は、まず「何のために導入するのか」という目的を明確にし、事前に具体的なKPI(重要業績評価指標)を設定します。

導入後はその達成度を定期的に評価し、RPAにかけたコストや時間に対する効果(=投資の正当性)をしっかり確認する必要があります。

こうしたプロセスを通じて、RPAが想定どおりの成果を出しているかを把握・評価し、必要に応じて業務プロセスや運用体制を見直すことが可能になります。

 

セキュリティ対策と周知徹底

RPAを導入する際は、まずセキュリティ機能がしっかりしたツールを選ぶことが大切です。導入後も定期的に監査を行い、安全性を確認しましょう。

また、社員全員がデータの取り扱いについて正しい意識を持つ必要もあります。RPAで扱うデータの分類や保存方法を明確にして、それを社内ルールにしっかり反映させておきましょう。

特に金融や医療など、厳しいルールがある業界では、専門のベンダーや外部のプロのサポートを利用することも有効です。

社員を対象にコンプライアンス教育を強化し、万が一トラブルが起きたときにすぐ対応できる体制を整えておくことは、安心してRPAを活用するために欠かせません。

 

継続的な運用・改善体制

継続的な運用と改善のためには、RPAのメンテナンスを常に行い、業務の変化に柔軟に対応していく必要があります。

具体的には、定期的にRPAの動作状況を確認し、最新の業務プロセスに合っているかをチェックすること、業務内容に変更があった際には速やかに設定を修正できる体制を整えること、問題が発生した場合には迅速に対応できる専門のチームや担当者を配置することなどです。

ベンダーが提供するサポートサービスや運用管理のアウトソーシングを活用すると、運用の負担を軽減しつつ効率的な運用が可能になります。

継続的なメンテナンスを続けることで、RPAの効果を長期間にわたり安定して発揮させることができます。

 

 

RPA導入を成功させるためのポイント

RPA導入を成功に導くためには、以下の3つのポイントを押さえることが重要です。

失敗しないRPA導入のための完全ガイド_画像3

 

明確な目標設定とプロジェクト管理

RPAを効果的に導入し、業務改善を実現するためには、明確な目標設定と適切なプロジェクト管理が不可欠です。

まず、プロジェクトの初期段階で「何を達成したいのか」を具体的に定めることが成功の第一歩となります。たとえば、業務の効率化やコスト削減、ミスの削減など、導入の目的を明確にすることで、関係者全員が同じ方向を向きやすくなり、プロジェクト全体のブレを防ぐことができます。

また、目標をもとにスケジュールやリソースの配分を計画し、実行段階での無駄や遅延を防ぐことも重要です。誰がどのタスクを担当し、どのタイミングで進めるのかを詳細に管理することで、導入の進捗を見える化し、問題があれば早期に対応できる体制を作ることができます。

さらに、RPA導入に伴うリスク管理も必要です。技術的な問題や運用上の課題を事前に洗い出し、適切な対策を講じることで、予期せぬトラブルや導入失敗のリスクを大幅に減らせます。例えば、システムの互換性問題や社員の理解不足など、様々な視点からリスクを検討し、綿密な計画を立てることが成功に直結します。

このように、明確な目標設定とプロジェクト管理、そしてリスクマネジメントを徹底することで、RPA導入の効果を最大化し、スムーズかつ確実な運用開始へと導くことができます。

 

現場との連携と教育

RPAの導入を成功させるためには、現場との密な連携が必要です。

実際に業務を行っている現場の声をしっかり反映させることで、RPAが現場の実情やニーズに即した形で機能し、効果を最大限に発揮できるようになります。現場のスタッフが抱える具体的な課題や業務フローの細かな違いを理解することで、無駄なく、かつ現場に負担をかけない自動化が可能になります。

現場とのコミュニケーションを積極的に取り、連携を強化していきましょう。経営層やプロジェクトマネージャーだけでなく、現場の担当者も含めたチーム全体でRPAの利点や目的を共有し、導入への理解と協力体制を築くことが、プロジェクト成功の鍵となります。

さらに、RPAに対して抵抗感を持つメンバーもいるため、教育やトレーニングの実施は欠かせません。RPAツールの基本的な操作方法やメリットを分かりやすく伝え、実際に触れてもらうことで不安や誤解を取り除き、積極的に活用できる環境を作りましょう。教育プログラムを通じてスキルアップを促進すれば、導入後の運用もスムーズに進み、業務効率化の効果も長続きします。

このように、現場との連携を強化し、適切な教育・トレーニングを行うことが、RPA導入の成功と持続的な効果につながるのです。

 

継続的な評価と改善

RPAを導入した後も、その効果を持続させるためには、定期的な評価と改善のサイクルを継続することが不可欠です。単に一度導入して終わりにするのではなく、実際の運用状況を細かくチェックし、プロセスの見直しや最適化を進めていく必要があります。

評価には、処理件数や作業時間の短縮などの定量的なデータを活用することはもちろんですが、実際にRPAを利用するチームメンバーからの現場の声やフィードバックも非常に重要。現場の視点を取り入れることで、数字では見えにくい課題や改善点を発見でき、より実態に即した改善が可能になります。

加えて、RPAの分野は技術の進化が早いため、新しい技術やツールの情報を常にキャッチアップする姿勢も欠かせません。最新の機能や導入事例を学びながら、既存のRPAをより効果的に活用するための方法を模索し続けることが、業務効率化をさらに加速させるポイントとなります。

このように、継続的な評価と改善を通じてRPAを進化させることで、導入効果を最大限に引き出し、組織全体の生産性向上につなげていくことができるます。

 

 

RPA導入を成功に導くために

RPAは、定型業務の自動化を通じて業務効率化や生産性向上を実現するだけでなく、従業員がより付加価値の高い業務に集中できる環境を提供する強力なツールです。

しかし、導入を成功させるためには、単なるツールの導入にとどまらず、企業全体の業務プロセスや運用体制を見直し、継続的に改善していく姿勢が求められます。

本ガイドでは、RPAの基本的な仕組みや導入プロセス、よくある失敗例とその回避策、そして成功のためのポイントを解説しました。

RPAは適切に導入・運用することで、業務効率化だけでなく、企業全体の競争力向上や従業員の働き方改革にも寄与します。

本ガイドを参考に、RPAを活用した業務改革を進め、持続的な成長を実現してください。

\うまくいかないRPAでお悩みなら/

RPAのロボット作成代行
導入、運用・メンテナンス、乗り換えを伴走サポート

RPAツールSynchRoidをはじめ、複数のRPAツール導入支援を行っています。

詳細はこちら>

  • この記事を書いた人
RPA開発チーム

タクトシステムRPAチーム

タクトシステムのRPA導入・開発・運用サポートや生成AIの運用を行うチームです。 RPAや生成AIに関する基本から活用の応用編まで、役に立つ情報を分かりやすく発信します。

-RPA, HAKADORI
-