いざカタログを作ろうと考えても、何から決めれば良いのか分からないと悩まれることがあるのではないでしょうか?また、せっかく作ったとしても、カタログの商品が売れなければカタログ制作の意味がなくなります。カタログ制作にも売れるセオリーがあり、そのセオリーに沿った内容作りができるかが重要です。
この記事では、カタログの作り方の順序と、売れるカタログの制作のコツ、カタログ制作の注意点について解説しています。
カタログを作る準備
カタログを作るにあたっては、入れるべき情報を事前に精査・整理することで、どのようなものを優先的に掲載するか、どのような図やイラストを入れるかといったことがスムーズに決まります。
はじめに情報を集積しておくことで、カタログ制作の途中で万が一手順を逆戻りし、決め直すことがあったとしても、素早い対応が可能になります。
1.カタログに入れる情報を整理する
カタログに入れる情報について集め、その中でどれを掲載するか情報の整理をしましょう。
例えば、値段、サイズ、重さ、性能、他の製品との違い、そして製品の写真やイラストなど、必要な情報や画像を集めます。
使い方の簡単な説明が必要な場合は、イラストなども要することがありますので、基本情報とは別に追加で入れる情報がないかもチェックします。
これらの情報については、エクセルなどのデータにまとめて、リスト化します。
既に商品情報のデータベースなどが自社にあれば、それらを活用することが可能です。
ただし色違い製品など、データベース上では個別に扱っていた商品をひとまとめにして掲載する場合など、データベースを活用する際には注意が必要です。
2.カタログのページ数や印刷部数を決める
どのような情報を掲載するかを決めたら、次はカタログのページ数や印刷部数を決めます。
この2点をもとに、制作会社や印刷会社の見積もりを取ります。
ページ数について
ページ数の確定のためには、どのような情報を1ページ中にどれくらい掲載するかについて決定し、台割を作る必要があります。
カタログには基本要素は2つしかありません。それは以下の2つです。
- コンセプトページ
- 商品掲載ページ
コンセプトページは商材やブランド、企業のイメージを伝えるためのページです。
上記の基本要素を繰り返す、またはコンセプトページを先頭に持ってきて、1サイクルのみでカタログを完結させることになります。
これらの基本構成を踏まえて、ページ数を検討しましょう。
ページ数は製本の都合で4の倍数にする必要があります。掲載する商品が足りない場合は、コラムなどを入れて、ページ数を稼ぎます。
印刷部数について
基本的には1,000部以上で考えるのがおすすめです。
多めに刷るべき理由として、都度少ない部数を発注するよりも一度で多くを発注した方が結果的にコストを抑えることが可能になるからです。
ただ、近年では電子カタログとの併用も多くみられます。
展示会出展の有無や営業スタイルによって最適な部数を見極めましょう。
3.見積もりを依頼する
会社によって当然値段は変わってきますので、複数社に相談することをお勧めします。
こだわりたい部分がある際は見積をとる際に事前に伝えることが大事です。
特殊な印刷用紙を使いたい、環境に配慮した紙を使いたいなどの希望がある場合は、その紙が使えるかどうか(用意できるかどうか)、そしてどれくらい金額が変わってくるのかをチェックします。
金額に合わせて、納期もどれくらいか確認しましょう。
4.業者を選定する
各社の内容を確かめていきます。
値段の安さだけではなく、どの程度希望を汲んでくれるのか、どれくらいの納期が必要なのかといったこともチェックします。
希望の品質に合っていることが重要ですので、必要以上に質の高いものを選ぶ必要はありません。
また、業者選定の際、業者の公開している制作実績はとても良い参考になりますので、必ずチェックするようにしましょう。
発注前に相談することのできる業者や、カタログ制作以外にもWEB掲載につなげることのできるサービスを展開している業者もあるので、今後どのようなカタログの運用をしていきたいかも含めて、相談してみることも重要です。
カタログの作り方の流れ
業者選定が終われば、いよいよカタログを具体的に作っていくことになります。
カタログ制作は以下の流れで行いますが、制作会社に頼む場合、自社で主導して手順を進めていくことはあまりないことかもしれません。
しかし、どのような手順でカタログ制作が進むかを事前に知っているかどうかで準備物への対応などが変わってきますので、きちんと把握するようにしましょう。
1.カタログの構成を決める
カタログの基本構成は、前述した通り、「コンセプトページ」と「商品掲載ページ」に分かれますが、これらを連続させるのか、それともコンセプトページは先頭のみに置くかなど、事前に決めた台割をもとにデザイナーと改めて検討します。
商材のカテゴリーごとにコンセプトページを入れる場合もあるので、じっくり納得のいくよう構成を練っていきましょう。
また1ページ内に掲載する商品の数についても検討します。
準備段階で決めた基本情報を制作会社に伝え、ページ数、サイズ、カタログの形状やどのような加工をするかなどを決定していきます。
2.原稿を整理する
実際に掲載する原稿の文章や画像について、原稿整理を行います。
これは発注主が行なう工程です。
商品名、品番、紹介文、仕様、価格などといった事前に準備したリストを活用して、原稿を作成していきます。
効率化およびミスを防ぐため、データベースを活用する場合は、商品データベースから自動で原稿を作成するように準備し、なるべく作業する人の手作業が減るように工夫することが重要です。ただし、自動化で入力した場合でも、正しい情報が掲載されるように、複数回チェックを行います。
原稿整理については以下の記事で詳しく紹介していますので、参考になさってください。
3.表紙などのデザインをする
制作会社側では、お客様が原稿整理をしているのと同時進行で、各ページのデザインをしていきます。
デザインをするにあたり、制作しているカタログの目的、ターゲットユーザーに合致しているか、企業のイメージに相応しいかを改めて検討していきます。
また、改訂をする場合に、更新のしやすいスタイルかどうかといった視点でもデザインを考えていきます。
4.印刷用データを作成する
それぞれのページのデザインも確定すれば、印刷用のデータを作成していくことになります。
原稿整理した文字原稿や商品画像を画像をそれぞれのページデザインに流し込み、配置などを整えて印刷用のデータを完成させていきます。
校正・修正を繰り返して初校、再校と、修正箇所がなくなるまで繰り返します。
5.入稿
印刷所にデータを入稿し、色校正を行います。
(安さ重視で制作していたり、デザインデータ作成の際に確認しているような場合は、色校正がないこともあります。)
色校正がある場合は、色味の確認を行い、修正箇所がある場合は修正指示を出して、最終チェックを行います。
最終チェックもクリアすれば、印刷にゴーサイン(校了)を出して、カタログが印刷されます。
印刷時の色味・画像補正については以下の記事で詳しく紹介していますので、参考になさってください。
6.印刷
ゴーサインを出された原稿は印刷され、製本されて、納品となります。
なお、納品されたらすぐに印刷されたカタログの中身を確認しましょう。落丁や乱丁がある場合は、制作会社または印刷会社に確認を取ります。少なくとも配布前には、必ず全ページチェックするようにしましょう。
売れるカタログの作り方のコツ
カタログ制作の手順について、基本的なことをご紹介しました。
しかし、カタログの目的は商品情報を伝えること、そしてなんといっても商品を売ること。
制作したカタログが効果的にターゲットにアプローチできるようにするにはコツがあります。
実際どのようにして制作すれば、売れるカタログとなるか、作り方のコツをご紹介します。
市場環境や競合他社の状況を調べる
まずは競合他社や同市場にいる企業のカタログについて調べます。
似た環境のカタログを参考にすることで、どのような内容にすべきか?どのくらいのクオリティが必要なのか?の検討がつきやすくなり、自社カタログの差別化を図ることができます。
自社の強みを明確にする
アピールポイントが曖昧なまま制作した場合、ただの商品一覧冊子となり、それ以上の効果が期待できない可能性があります。
自社の強みを明確にして、読み手である顧客に対して何をアピールしたいのか、また、アピールすべきかを、決定することが重要です。
カテゴリーごとなどでコンセプトページを複数設けていた場合、それぞれのアピールポイントがぶれてしまっていると、ユーザーが企業に対して違和感や不信感を抱く恐れすらあります。
自社のどのような魅力を伝えたいのか、自社商品の優位性はどこにあるのかといった、カタログを通してユーザーに伝えたいことを明確にしておきましょう。
顧客を把握し情報を整理する
カタログを受け取る読み手がターゲットからずれていては意味がありません。
どのようなターゲットに向けてのカタログなのか、設定したターゲットが実際に市場におけるユーザーであるのかどうかも重ねて検討しましょう。
自社の強みと同じく、デザインや内容に関わることなので、一貫したターゲット設定が必要です。
まとめ
カタログの作り方について、その手順と、作成のコツについて紹介しました。
手順についておさらいすると以下の通りです。
【カタログ作成手順】
カタログを作る準備
情報の整理→カタログのページ数・印刷部数の決定→複数業者で相見積もり→業者選定
カタログ作成
カタログの構成の決定→原稿整理→表紙などデザイン決定→印刷用データ作成→入稿→印刷
【売れるカタログを作るコツ】
- 競合他社など同業界のカタログを参考にする
- 自社の強みを明確にし、何をユーザーに伝えたいか目的意識を持って作成する
- カタログを使うターゲットを明確にし、訴求ポイントの優先順位をつける
カタログ作成は長い道のりのようですが、目的意識を持ってターゲット設定をブレさせずに作成すれば、効果的なものが作れます。
パートナーとなる制作業者選びも重要になってきますので経験があり、カタログ制作によって企業の売上に繋げる意識のある制作業者を頼るのが、より良いカタログ制作にとって近道といえます。